研究主題及び副題

「互いを認め,共に手を取り合って生きる児童の育成」

~ふるさとの素材を生かした生活科・総合的な学習の実践を通して~

主題設定の理由

(1)社会の今日的な課題から

東日本大震災から6年を経過して,新しく切り開いた高台に新築の住宅が立ち並び,新しい街づくりが盛んに行われている。この新しい街=野蒜ケ丘に新しい木の校舎が建ち,観光物産館や市民センター,保育所の開設など公共施設も誕生し,まさに新しい街づくりが整えられている最中と言える。一方で,これまでのコミュニティーとは異なる,新しい街のコミュニティーづくりの準備が求められている。新しいコミュニティーを築いていく上で大切なことは,自分たちの住んでいる所をふるさととして愛着をもつことであると考える。自然豊かな宮戸・野蒜地区は魅力的な伝統や文化が多い地区である。震災で離れた生活を余儀なくされた児童がふるさとの魅力を見つめ直すことは,ふるさとを愛することにつながると考える。

(2)学校教育目標の具現化から

当校は,昨年度,宮戸小学校と野蒜小学校が統合し,宮野森小学校として新設された学校である。本校の学校教育目標は,「ふるさとを愛し,夢に向かってがんばる児童の育成(きらっと夢,あふれる笑顔,宮野森っこ)」である。宮戸と野蒜の地域が一つとなり新しいふるさとを共に築いていこうとする気持ちを育てていくことは,今後地域の復興の担い手となる児童の育成にとって大切であると考える。ふるさとの自然や文化を体験させることで,ふるさとを愛し,将来のふるさとに夢を馳せながら,他者との共存の在り方,これからの生活に希望をもつための素地を養うことができると考える。

(3)児童の実態から

宮野森小学校は,宮戸地区の児童が1割,野蒜地区の児童が9割在籍している。年度当初仮設住宅から通っている児童もまだ十数人いるが,野蒜ケ丘を中心に生活拠点が落ち着きつつある。ただ,元々の地区で生活するようになっている児童であるが,ふるさとの自然や文化について気付いていない,知らないことが多いと思われる。宮戸地区の児童は野蒜地区の,野蒜地区の児童は宮戸地区の自然や文化の魅力を探ることを通して,互いの地区のよさを感じるとともに,自分たちのふるさととして認識し愛着をもつことができるようになると考える。

また,児童が宮野森の地域素材に直接働き掛け,問題解決を図りながら主体的に学習することを通して,統合した新しい仲間と関わりながら,互いを認め,共に手を取り合って生きる児童を育てていきたいと考える。

(4)昨年度の校内研究の成果と課題から

昨年度は地域の特性を生かした教材化の工夫を重点として,授業実践をしながら単元の見直し・開発に取り組んだ。既存の教材を「本質性」「関与性」「多様性」の3つの視点から見直すことで,探究的な学習の単元開発をぶれずに行うことができた。また,友達や地域の人と触れ合う探究的な活動を通して,以前よりも友達のよさに気付いたり,積極的に関わりをもつことができるようになったりするなど他者を認める気持ちが育っているという成果が得られた。

しかし,昨年度は学校のホームグラウンドが1・2学期と3学期で異なっていたことや,統合初年度という事情もあり,活動に多少の制約ができてしまい困難さがあったので,児童により探究的な学習を行わせるための単元の授業構成を吟味する課題が残った。

そこで,単元の授業構成を「つかむ」「さぐる」「深める」「生かす」という4段階に設定し,それぞれの内容と効果的な教師の支援の在り方を探っていきたいと考え,本年度は単元構成の工夫と教師の支援について重点的に研究を進め,本主題に迫りたい。